ようこそ社会学類へ

社会学類長 五十嵐 泰正
社会学類は、社会学・法学・政治学・経済学の4つの主専攻から構成され、それぞれの専門性の特徴を理解しながら、社会を横断的・複合的に把握する力を養う場です。1973年の筑波大学開学とともに出発した本学類は、半世紀を超える伝統を受け継ぎつつ、新しい課題にも正面から向き合い続けています。現代の社会課題は複雑性を増し、単一の固定的な専門知のみから全体像を把握するのは不可能です。そうした社会課題に向き合っていきたい学生にとって、1~2年次に幅広く社会科学諸分野に触れることで多様な、そして自分の適性にあう社会の見方や方法論を学び、それを2~4年次に各主専攻の専門講義や、少人数の演習などで深めていくことができる社会学類は、最適の選択肢だと言えるでしょう。
社会学類が大切にしてきたもう一つの姿勢は、ローカルな視座とグローバルな視座の双方を鍛えてゆくこと。グローバル化が急速に進む現在、私たちの目の前にある「この街/この現場」の問題は、世界規模の構造変容と深く結びついています。人口減少と移民の増加、国際観光の増大とオーバーツーリズム、エネルギー危機と地球温暖化、脱産業化・情報社会化と中間層の解体——これらはすべて、グローバルな構造変容を深く理解してはじめて、足元のローカルな現実が読み解ける事象であり、足元のリアリティへの繊細な目線なくして、グローバルな変動も把握できません。この双方向の往来こそが社会科学の醍醐味であり、本学類の教育の根幹をなしています。
だからこそ社会学類では、教室での学びにとどまらず、現場の人々と向き合いながら問いを立て、データを集め、理論と往復しながら考える経験を重視してきました。コンテンツ制作、法廷、中央・地方官庁から、社会運動団体や市民活動団体、農漁村や商店街、中小製造業まで、訪れる国内外の現場は4主専攻それぞれのテーマに沿って多岐にわたります。ただ、「現場に出て考える」という実践の中で培われた問いを立てる力・聴く力・伝える力は、卒業後にどのような分野に進もうとも、複雑な現実に向き合うための確かな基盤となるはずです。社会学類はそのための環境を惜しみなく提供します。ともに学びましょう。
概要

筑波大学は、百余年の伝統をもつ東京教育大学を引き継ぎ、1973年10月に「新構想」大学とし て、学際的な教育・研究と社会的にも国際的にも開かれていることを目的に開学し、2024年には50周年を迎えました。長い歴史をもつと同時に、新たな伝統を創りつつある大学といえましょう。
東京の近郊、関東平野の中ほど、筑波山の南に広がる筑波研究学園都市(茨城県つくば市)の一角に、全国でも有数の広大なキャンパスを占める本 学の、他大学と異なる特徴は、「学部制に代えて、学生を教育するための組織である学群・学類を設けたこと」と、「前期2年の教養学部を廃止して、入学直後から大学としての専門教育を開始し、外国語や総合的な教養科目を効率的に配置したこと」です。
筑波大学社会学類は開設以来、人文学類、自然学類とともに第一学群を構成してきましたが、社会情勢の変容や社会が求める大学像の変化などを踏まえ、2007年度から社会・国際学群に属する2学類の1つとなりました。社会学類は40年以上も積み重ねてきた成果を大事にしながら、新しい学群をともに構成する国際総合学類と協力しあって、社会科学分野における総合的・専門的な教育を一層充実させることを目指します。たとえば社会学・法学・政治学・経済学の各主専攻では、必要に応じて国際総合学類との共通科目が設定されており、社会学類生は国際総合学類の科目を履修しながら、社会学類の卒業に必要な単位を取得することができます。社会学類生はまた、社会学類の科目だけでなく、さまざまな他学群・学類の授業を受けることも求められます。
社会学類は、社会科学を総合的に教育することを目的とし、同時に専門の内容を深めるために3~4年次は社会学・法学・政治学・経済学の4主専攻にわかれます。他の大学に当てはめていえば、社会学部(ないしは文学部社会学科)、法律学部(法学科・政治学科)、経済学部にそれぞれ所属しなが ら、 他学部(他主専攻)の勉強をすることも可能、かつ必要というわけです。
人間はともすると、「深ければ狭く」、「広ければ浅く」なりがちですから、ひとつの専攻を深く、かつ他の専攻を広く勉強することは、決して容易なことで はありません。しかし、現代の複雑な社会問題はそのような勉強を要求していますし、またそれに応える勉強は楽しいものでありましょう。
例えば、主専攻分野の勉強を深めるために、2~4年次においては、 少人数方式の入門演習や演習(ゼミナール)が設けられ、活発な討論の「場」となっています。
また、指定の「教職科目」を履修することにより、教員の資格が得られます。 社会学類で取得できる主な免許状(科目)は、高等学校1種(公民)です。
本学類には、学生が生きた学問をする場として、全国にも珍しい裁判員制度に対応した模擬法廷が設けられています。
社会学類と関係する大学院
社会科学と関係する大学院が筑波大学には多数設けられており、大学院に進学する学生もえています。社会学類と最も密接な関わりを持つものとして人文社会科学研究群(国際公共政策学位プログラム、国際日本研究学位プログラムなど)があり、その他に生命地球科学研究群、人間総合科学研究群、システム情報工学研究群、ビジネス科学研究群などがあります。
法学分野では、東京大塚に、社会人を対象とした法科大学院(ロースクール)が設置されています。
社会学類を卒業後、上記の大学院を経て、あるいは他大学の大学院(ロースクールを含む)を経て、大学やその他の研究機関、行政機関、法曹界、シンクタンク、マスメディアなどで専門知識を生かし研究を続けることが可能です。そうした多くの先輩が活躍しています。
