経済学への招待

経済学は、社会科学で唯一ノーベル賞の対象となっている学問分野です。経済学の方法は、狭い意味の経済現象の分析用具として大きな成果をあげてきただけではなく、政治、法律、労使関係、家族、環境問題、都市、教育、国際関係といった他の分野にも幅広く適応されてきました。その結果、今日では、それらの分野も経済学の重要な領域となっています。 

経済学は他の人文社会科学と同様に歴史や思想を重視します。また自然科学と同様に、明確な仮定を設定し、それを客観的データを用いるなどして論理的に明らかにしていきます。 

経済学は、しばしば誤解されるような、金儲けや社会の効率化の手段ではありません。それは、現代の社会問題を客観的に、そして検証可能な形で思考するために必要不可欠な手段です。

教育方針と特色

経済学主専攻では、経済学の基礎的な分析手法を段階的に学ぶことができるカリキュラムを設定しています。これに加え、理論や政策から歴史および現状分析に至る教育内容を設定することで、広い社会的関心をもちながら、現代の問題を体系的にとらえる能力の養成を目的としています。 

また、他大学の経済学部と比べて教員一人当たりの学生数が少ないという特色を生かして演習(ゼミ活動)を重視しています。 

そこでは、活発な議論を通じて経済学をより深く学べるよう留意するとともに、キャンパスを飛び出して工場見学を実施したり、日本銀行や証券取引所見学を実施するなど生きた経済を学ぶための実習的な取り組みも積極的に行っています。 

さらに必修ではありませんが、学生生活の総決算として卒業論文をまとめることを推奨しています。

将来の方向と進路

就職先は、銀行など金融業から、製造業、マスコミ(新聞記者など)、公務員などさまざまな分野に及んでいます。また、研究者をめざして大学院に進学する人もいます。

 

教員紹介

高橋 秀直(たかはし ひでなお)
「現代金融史」「Economic History」「経済統計論」【経済史/金融史】

知識は断片的な情 報を相互に関連付けて整理したものです。高校までの勉強は、他の誰かが整理した教科書や受験参考書を利用するだけでした。でも、私は、他人の視点を身につけることから一歩踏み出して、自分なりのものの見方を手にしたいと思っています。新しいことを学ぶ度に、自分がすでに知っている知識と関連付ける練習を続けています。授業を通じてその一端を伝えられれば幸いです。

平沢 照雄(ひらさわ てるお)
「地域経済論」「日本経済史」「日本経済論」「経済学演習Ⅴ」【現代日本経済史/地域経済・産業論/中小企業論】

社会学類は、グローバルとローカルの双方の視点を兼ね備えた学生の育成を重視しています。21世紀に入り、グローバル化が至上命題のように言われてきましたが、コロナ危機に直面するなかで、改めて地域経済の重要性に注目が集まるようになりました。現代社会では、グローバル化が進めば進むほどローカルな問題の解決も同時に課題となっています。社会学類で幅広く学ぶなかで、グローカル(=グローバル+ローカル)な視点を身につけ活躍してくれる意欲的な学生に出会えることを期待しています。

福住 多一(ふくずみ まさかず)
「経済数学」「基礎経済数学」【ゲーム理論/進化ゲーム理論】

経済学は科学です。その体系の理論的本質の多くは、数学で記述します。これを理解するには、冷徹な論理的思考力が必要です。ただし科学的に解明する対象は、社会現象とそれを構成するヒトです。これを理解するには、社会やヒトに向けた温かい眼差しと豊かな心が必要です。このように、経済学は理系・文系の境界が無い新しい総合科学です。この若い科学を意欲的な皆さんと成長させたいと思っています。

演習テーマ・卒業論文タイトル抜粋(令和4年度)

  • 企業ステークホルダー間の利害対立に関するゲーム理論分析
  • 憲法論文作成講座 ◦約120年ぶりに大改正された債権法の判例研究
  • 経済思想から読み解く現代人の価値判断
  • 地域再生政策に対する経営的分析
  • 観光による地方創生に関する一考察
  • ゼロ和ゲームにおけるナッシュ均衡点の精緻化